研究内容RESEARCH
画像診断装置(主としてX線CT)の
画質に関する研究
- 多様な画質問題を解明し、良質の画像を得る手段を追求しています。
- 評価の難しい新しい技術について、適確な評価をするための研究をしています。
低線量時の異常陰影の解消
肩などの扁平な部位や腕を降ろした体幹部のスキャンでは、照射X線量を下げると横方向にストリークアーチファク
ト(筋状の偽陰影)が発生します。平滑化により細いストリークを薄めるのが伝統的対策です。
しかし、これではまだ診断には使えません。結局、もっとX線量を上げたスキャンが必要になってしまいます。
CTのデータ処理の途中にある「対数変換」という計算が雑音統計を悪くしていることを発見し、この計算法を少し変えると格段に良くなることを確認しました。既に多数のCTで実用されています。
![](https://www.rii.med.tohoku.ac.jp/wp-content/themes/rmt/assets//img/research04/1.jpg)
大視野画像の画質の抜本改善
大きい患者さんは大きな視野でスキャンしますが、 画質はよくありません。 非常に高雑音です。
X線量が不足だという理由もありますが、 それ以上に悪すぎるようで、 これが現実のCT画像でした。
スキャンしたデータから画像を計算する「画像再構成計算」の理論は完全ですが、 この実行法に問題があることがわかりました。 512X512画素で表現できる情報には限りがあります。 この限界内で最大の情報表現ができるように画像再構成計算を小変更することで、 問題解決できます。
これは既に実用されていますが、 今後の高解像力CTでは必須技術となります。
![](https://www.rii.med.tohoku.ac.jp/wp-content/themes/rmt/assets//img/research04/2.jpg)
サンプリング問題の改善
CTでは被写体を通過したX線を離散的に(飛び飛びの場所で)計測します。
離散的計測をサンプリングと言います。 サンプリングのしかたが最善でないとき、 「折返し」とか「エイリアス」と言われる現象が起きます。
この結果ストリークアーチファクト(筋模様の偽陰影) が生じます。 場合によっては診断困雄です。
一般に「折返し」は、 発生したら事後に解決することは出来ないとされています。
しかし、 「最適逆投影」という技術により問題をほぽ解決することができました。既に実用されています。
![](https://www.rii.med.tohoku.ac.jp/wp-content/themes/rmt/assets//img/research04/3.jpg)
画質の物理評価
左の画像で「方法A」は従来の理誼に基づく画像再構成法による画像です。 「方法B」と 「方法C」は新たな再構成法による画像で、全CTメーカーが注力して普及させています。 「解像力が高い割に雑音が低い」と謳われていますが、 本当にそうなのでしょうか’?
画質の定量測定をしてB,Cが優秀とする研究報告は多数ですが、 あまり信頼できません。実はB,Cでは非線形という問題があって画質の定量測定が困難なのです。 B,Cに移行すべきなのか、 あるいはA且Cをどう使い分けるべきか、 世界中で多数の研究が為されていますが、 結論が出そうもありません。
詳しく説明できませんが、 私たちはこの問題に決着をつける画質計測法を開発しています 現在最も注力しているテーマです。
![](https://www.rii.med.tohoku.ac.jp/wp-content/themes/rmt/assets//img/research04/4.jpg)
- CT画像のアーチファクトを緩和する処理法
- CTの画像再構成過程の情報ロスを回避することで画質改善をする再構成法
- 臨床と乖離しない条件下での画質計測法および線形画質理論が成立しない状況での画質評価法
- 最新装置の被曝や画質性能の実態調査(問題摘出など)
- MDCTヘリカルスキャンの空間分解能を向上する手法
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